【レビュー】StylishNoobさんの自伝本『今日も、感謝します。』が発売! いちゲーマーとして、早速読んでみた感想

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「Overwatch」のプロゲーマーであり、そして配信サイト「Twitch」で日本人を代表するトップストリーマーでもある「StylishNoob」さん。ゲーマーであれば一度は名前を耳にしたことがあると思います。DeToNator脱退後はフリーで活動していましたが、ゲーミングチームZETA DIVISIONへの電撃加入が大きな話題となりました。

そんな「StylishNoob」さんの初エッセイ『今日も、感謝します。』が2022年2月24日に発売。


今日も、感謝します。

いちゲーマーとして「これは買わなければなるまい」という謎の使命感に襲われて、kindleで購入。
先ほど読み終わったので、早速読んだ感想を書いていきます!

目次

ズバリ面白い? つまらない?

最初にハッキリ言いますと、面白いです。
ゲーマーならば迷わずに買うべきでしょう。


ここまで言うと「それはお前がファンボだからだろ!」と言われるかもしれませんので、ハッキリ言っておきましょう。僕はそこまで「StylishNoob」氏のファンではありません。

彼のTwitchチャンネルの定期購読(サブスクリプション)もしていないし、そもそも視聴時間でいえば、同じDeToNator所属だった「釈迦(@avashaka)さんや、あるいは全然関係ない「スタンミジャパン(@sutanmiJPN)」といった他のストリーマーの配信を観ているほうが絶対に多いでしょう。

それでもStylishNoobことスタヌ氏の元プロゲーマーとしての活躍、上手すぎてチートを疑われながらも無実を証明した数少ないゲーマー(後述)であるという点、そしてストリーマーという文化がなかなか根付かなかった日本において、その第一人者になったことを単純に心から尊敬しています。

あれ、これだけ言うと立派なファンボかもしれない……
まあファンボであれば迷わず買って良いです。

たとえファンボじゃなくても、プロゲーマーやストリーマーって名前だけは最近よく聞くようになったものの、なにをやっているのか・どうやってなるのか分からない職業なので、その事情を知ることができるのは面白いはず。

続いては気になる本の概要を。

どこにでもいる田舎暮らしの少年だったと語る幼少期

スタヌ氏の半生を知ることができる三部構成

基本的な本の構成は三部構成となっております。

  • 関優太としての少年時代から大学中退してニートになるまで
  • StylishNoobとしてストリーマー、プロゲーマーになった話
  • 専業ストリーマーとして成功し、結婚して子どもまで出来た話

ストリーマーの多くがプロゲーマーとして活動 → 引退後にストリーマーという流れだと思いますが、スタヌ氏の場合、ストリーマーになってからDeToNatorに加入してプロゲーマーになったんですね。知りませんでした。

また幼稚園児の頃からゲームが好きだった話、ゲームにのめり込んでいった中学時代、やたらと絡まれるようになった高校時代、大学でぼっちだった話、仕事をすぐに辞めてニートになった話など、エピソードに事欠きません。

ガラの悪い工業高校に通っており、やたら絡まれたと語る青春時代

名キャッチフレーズ「感謝します」のルーツ

本を読み進めてゆくと、唐突に「実の母親との対談コーナー」が始まって驚かされました。

おいおいスタヌ氏マジか。
ふつうこういうのって現役選手時代にお世話になった監督やコーチ、あるいは元チームメイトでしょ
元DeToNatorのストリーマーメンツでもいいし、なんなら今いるZETA DIVISIONの選手でもいい。
オカンて。

内心ツッコミながらも読み進めていくと、普通にいい話でした。
そしてスタヌ氏の名フレーズでありタイトルにもなっている「感謝します」のルーツを発見

小さいのに妙に礼儀正しかった。幼稚園の頃とかいっしょにご飯を食べに行くと、お会計してお店を出る時にあんたが「美味しかったです。ありがとうございました。ごちそうさま」なんて1人でしゃべってるの。

StylishNoob. 今日も、感謝します。 (p.57). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.

ほかにもスタヌ氏が母親に眉毛の片方を剃り落とされてしまい(!)激怒、しかし翌日には「眉毛を剃ってくれてありがとう」と書いた手紙を渡すなど、とにかく「感謝する」ことを徹底していたエピソードが語られます。

ほかにも親子だから出来る豊富なエピソードトークが展開され、結婚したことをTwitterで知った話や、奥さんの印象について触れているシーンもありました。最初は面食らいましたが、必見のコーナーです。

プロゲーマーとして数多の海外遠征を経験

チーム内で揉めて飛行機内での雰囲気が最悪だったと語る海外遠征

DeToNatorの「Overwatch」部門に所属してからは、プロゲーマーとして第一線で戦っていたときの話が詳しく書かれています。これは本を手に取った方の多くが楽しみにしていた箇所なんじゃないでしょうか。

というのも、愚痴にもなるかもしれませんが、ズバリ「プロゲーマーは多くを語らなさすぎる」。プロゲーマーが好きな僕としては、海外遠征したなら現地の感想とか練習環境とかもっと聞きてえよ!とか、ゲーミングハウスでどんな生活をしているのか、もうちょっとファンに教えてくれよ!とか思うわけです。最近はスタッフによりYoutubeで動画がアップされることもありますが、それだと選手の意見や本音などは聞けないんですよね。

その点、この本ではそんな不満を解消してくれています。
海外の会場で困ったこと、試合本番で起こったハプニング、世界の壁にブチ当たって挫折したこと、チーム内で喧嘩して雰囲気が最悪だったこと、チームの解散にあたって最後の試合後に涙を流したこと……現役プロゲーマー時代に体験したことが、すべて余すことなく赤裸々に書かれています。

ゲームの試合内容までは細かく触れられていませんが、専門用語が出てこないぶん「Overwatch」を知らない人でも「プロってこんな事情があるんだ」と楽しめますし、ファンが知りたいのは裏事情なので問題ないでしょう。

個人的にはプロゲーマーを目指している若者に、是非読んでほしいところ。

奥さんとの出会い、結婚、そして子ども誕生

最後には奥さんとの初デートなどの馴れ初め、同棲した経緯、生活の変化などが語られています。リア充め!と僻むよりも、なんだか微笑ましく感じるのもスタヌ氏の人徳なのでしょうか。スタヌ氏にとっていまの奥さんが初めてお付き合いした女性というのは初めて知りました。そして慣れない育児に奮闘する様子も語られております。スタヌ氏が家族についてじっくり話すことはないので、貴重なコーナーになっていますね。

2歳半になる愛娘と、飼い猫たち

そして配信やTwitterで度々姿を見せる3匹の飼い猫(モカ・ココア・チビィ)についても書かれています。

DeToNatorの脱退理由についての詳細は?

さて気になる人もいるかもしれないので書いておきますが、DeToNatorの脱退理由については作中で特に触れられていません。というのも配信内でスタヌ氏自ら「フリーになって自由にやりたい、今(所属チームに)やっていただいていることを、自分主導でやっていきたい」と説明していますし、何か問題があったわけではないので語るまでもないでしょう。

その代わり、作中の随所でお世話になったDeToNatorへの感謝や、DeToNator加入のきっかけになった元チームメイトであり現ストリーマー仲間でもあるYamatoN氏への感謝を繰り返し述べています。

総評:ファンボはもちろん、すべてのゲーマーに読んでほしい本。

最後にスタヌ氏は作中でこんなことを言っています。

考えすぎるのは僕にはおそらく向いていない。考えすぎたせいで動き出すことができなくなってしまう気がするからだ。(中略)とりあえず動き出せ ば、その先に道は見えてくる。今までの僕の人生がそうだったように。

StylishNoob. 今日も、感謝します。 (pp.159-160). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.

仕事をせずに日本では周知されていないストリーマーで食べていくこと、DeToNatorへ加入してプロゲーマーとして挑戦すること、またDeToNatorを脱退してフリーになること。いわば人生を左右する重大な決断をこれまでにたくさんしてきたスタヌ氏ですが、どれもあまり考えることなく即断即決してきたようです。

また、スタヌ氏が本当に言いたいのはここ。

こうやって一冊の本に自分の半生をまとめてみて実感するのは、人生の岐路に直面した時に僕が大切にしたいのは〝 決断〟ではなく〝 感謝〟だということ。(中略)感謝の気持ちを持たないまま決断するくらいなら感謝しながら流されるほうがいいと僕は思っている。そもそも、ストリーマーという僕の仕事は視聴者ががいなければ成り立たないのだから、僕に興味を持ってくれる人たちには感謝しかない 。僕の人生の道筋がどこに繫がっているのは分からないが、その道を切り拓くのは決断ではなく感謝だ。感謝の先に僕の人生は広がっている。

StylishNoob. 今日も、感謝します。 (p.160). 株式会社KADOKAWA. Kindle 版.

ちなみにここで「視聴者がが」「どこに繋がっているのは(か抜け)」となっている誤字を立て続けて発見。
こんな最後のシメにかかっている、恐らくスタヌ氏がこの本において一番言いたいところであろう文章なのに誤字があるなんてスタヌ氏らしいというか……でも、あえて修正はせず、スタヌ氏の言葉をありのままを載せようというKADOKAWAさんのスタンスなのかもしれません。粋な計らいに感謝します。

というわけで、いちゲーマーとして読んで大変面白かった・考えさせられる本でした。StylishNoobというストリーマーの根本だけでなく、関優太という人間を知ることができ、気持ちが温かくなります。読み終わったときに、ついついこれが「感謝します」という感情なのか、と考えてしまったほど。

少しでも興味を持った方は、是非読んでみてくださいね。ゲーマーならば買いです。


今日も、感謝します。

※画像はプレスリリースより引用。プレスリリースはこちらから

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